中小企業診断士うっちーの「相談窓口 よくあるお悩み相談トップ10」#3 協力してもらえる取引先を探したい!

中小企業診断士の内山です。起業家や経営者の皆さんが訪れる「相談窓口」。みなさんどんな悩みを抱えているのでしょうか?

このコラムでは「よくあるお悩み相談トップ10」として、10位から順番にご紹介しながら、一般的な対応方法についてもご紹介します。

第8位は…「協力してもらえる取引先を探したい」です!

事業者どうしの連携は、可能性を広げる有効な方法

地域密着型の事業に限らず、互いの足りないところを補い合い一つのプロジェクトに挑戦することは、商売の可能性を広げることはもちろん、地域経済の活性化やお客様にとっても大変喜ばしいことです。農家と飲食店の連携、菓子店とスーパーなど小売店との連携、地元製造業同士で連携しての共同受注、不動産業者と建設業者の連携による空き家の活用など、身近なところでもよく耳にすると思います。

一方で「言うは易し、行うは難し」という言葉もありますが、協力者を見つけられなかったり、見つけられたとしても条件面で折り合わず途中で頓挫してしまったりするケースも少なくありません。

 その一方で、事業者どうしの連携をどんどん進めていく、連携するのが上手な事業者の方もいらっしゃいます。

いったい何がポイントなのでしょうか?

まずは自分がビジョンを描く、自分の役割を示す、そして語る!

事業者どうしの連携を進めていくのが上手な方の共通点は3つあります。

「他の誰でもない、協力関係ができた後の未来の姿=ビジョンを描いていること」

「他の誰でもない、自分自身の役割と協力者にお願いしたい役割を明確に描いていること」

「描いたビジョンを恥じらいなく語ること」

 言い換えれば「達成したいワクワクする未来の姿が見えていない、説明できる形になっていない」「協力をお願いしたい内容が決まっていない、自分の果たす役割を明示できない」「それらの内容を発信していない」場合は、協力者も現れず、なかなか前に進めません。

別に事業計画書を書かなくても大丈夫です。「描く」という言葉を使ったのは、文字だけでなく、図や表や絵で示しても問題ないからです。キレイでなくたってかまいません。伝われば大丈夫です。

ただし、「語る」だけだと難しいです。

理由はすぐに消えてしまって、思考したり共有したりするのにはとても不便だから。

とにかく頭の中でモヤモヤしている構想を書くなり描くなり表現するなり、アウトプットしてみましょう! 自分の役割、誰かに協力を求める役割も見えてきます。協力を依頼された側も理解しやすく、ミスマッチも回避できます。以前のコラム(中小企業診断士うっちーの 「ゼロからできる!事業計画書」 |#4 計画書の「販売先・仕入先」って何を書けばよいの? | I-Port.biz ハジメマシテ、飯田

でご紹介したビジネスモデル図を使って整理するのもよいです。

事業者どうしの連携は、「見える化」が鍵

事業者同士の連携で一番多く相談を受けるトラブルは、残念ながら「言ったor言わない」と「お金」の問題です。

事業をしていれば調子の良い時もあれば悪い時もあります。ずっと右肩上がりで事業が成長し続けることは稀です。

せっかく地域のために、困っているお客さんのためにといった事業でも「納期を守ってくれない、必要な量が揃わない」「家賃の支払いのタイミング」「安価で譲り受けた設備が不調だが対応してくれない」など様々な場面で「言ったor言わない」から始まり「お金」の問題に発展して、事業内容そのものは素晴らしかったのに関係断絶…という状態になった方もしばしばいらっしゃいます。

最初に図や表や絵を描いて視覚的に共有することは、こうしたトラブル回避にも役立ちます。前々回のコラムでも触れましたが、継続的なお金のやり取りが発生するならば契約書を残しておくことも重要です。

ビジョンを描く」ことで、ビジネスを一歩前へ

「アイデアを具体化し思いを伝える、共有する」という攻めの面でも、

「困難な時に思い出す、誤解を解く、ミスマッチを防ぐ」という守りの面でも、

ビジョンを描き、自分の役割を示し、きちんと語ることがまず第一歩。

協力してもらえる取引先を増やし、商売を行ううえで一番大切と言われる「信用」も積み上げていける核となるのは、描いたビジョンにどれだけ信頼性があったり、ワクワクするような魅力に満ちているのか、ということだと思います。

いかがでしたでしょうか?次回は第7位「PDCAが回せない」です。PDCAとはPlan、Do、Check、Actionの略で、業務改善を進めるうえで大切な考え方の1つです。それではまた次回。

中小企業診断士うっちーの「相談窓口 よくあるお悩み相談トップ10」#2 新商品を開発したい!

中小企業診断士の内山です。起業家や経営者の皆さんが訪れる「相談窓口」。みなさんどんな悩みを抱えているのでしょうか?

このコラムでは「よくあるお悩み相談トップ10」として、10位から順番にご紹介しながら、一般的な対応方法についてもご紹介します。

第9位は…「新商品を開発したい」です!

新商品開発は、「お客さん目線」を大切に!

今回のタイトルは「新商品を開発したい」ですが、実際のところ相談に来られる方の大半の状態は「新商品を開発したけれど、どうやって販売すればよいだろうか?」というものです。もう既に、商品そのものは完成している訳です。

 この時に最初にお聞きする質問が「誰のため、何のための商品というイメージを持っていましたか?」ということ。この答えの中に「お客さん目線」が入っていない場合は、残念ながらまず事業として軌道に乗るほど売れるのは難しいです。

 なにを当たり前のことを…と言われてしまいそうですが、地域の相談窓口で相談していると「地域でこの食材が沢山とれるから新商品を開発しよう」とか「当社の技術でこんな強みがあるから商品開発してみた」という考えだけで新商品を開発した、というケースはけっこう多いんです。

 有名なフレームワーク(論理的思考方法)として知られているものの一つに、『3C分析』があります。Company(自社)とCustomer(お客さん)とCompetitor(競合他社)の頭文字をとって3C、この着眼点から先ほどの事例を考えると、3Cのうち1つのCしか考えていないことに気づいてもらえると思います。

もちろん、地域資源の活用や自社の強みの活用も大切です。3Cの1つを構成している訳ですから。光の当て方次第でお客さんのニーズに合致させられる場合もあります。

ただ、せっかく時間とお金と労力をかけて新商品開発を行っていると思いますので、ぜひ最初から3Cの視点、少なくとも「お客さん目線」は頭の片隅に置きながら新商品開発に取り組むことをお勧めしています。

対応策:試してみてから、大きく踏み出す

「そうは言っても、お客さんの反応って実際に売ってみないとわからない」。そんな声も聞こえてきそうです。そんなとき私は、商品・サービスの内容にもよりますが、「試しに売ってみる」という方法をおすすめしています。

飲食業や小売業ならイベントや期間限定で提供するという方法もあるかと思いますし、開発製造そのものに時間とお金が必要な場合には仲間を集めてプロトタイプ機を製造してみるといった方法もあります。すべて自社でリスクを負う必要はないはずです。特段ベンチャー企業などではなく、地方の中小企業や小規模事業者が取り組む場合は「小さく生んで大きく育てる」がセオリーかなと感じています。

設備投資は3年先、5年先を見すえて実施しよう

新商品の開発が完了すると、次に必要なことは量産や事業化のための設備投資です。ところが相談を受けていると、新商品の開発段階で「すでに量産に必要な設備投資を完了させた」というケースを多く耳にします。ちょっとした道具ならともかく、数百万円する機械や製造ライン、中には工場や店舗を新設してしまったなんてケースの相談も多いです。

 設備投資とは言葉の通り「投資」であり、3年先、5年先まで会社に影響を及ぼすことになるものです。

 経営者の方の中には素早く新規事業を立ち上げて2~3年で撤退するスゴ腕の方もいらっしゃいますが、なかなか簡単に真似できるものではありません。新商品に力を入れすぎたために、既存の事業が傾いてしまったというケースの相談にも残念ながら数多く対応しています。

 個人的には、スゴ腕の経営者さんの武勇伝はとても面白くて大好きなのですが、セオリーは「小さく生んで大きく育てる」ということ。お客さん目線を忘れずに、個性豊かで面白い新商品を開発していただければと思います!

いかがでしたでしょうか?次回は第8位「協力してもらえる取引先を探したい」です。

それではまた次回。

中小企業診断士うっちーの「相談窓口 よくあるお悩み相談トップ10」#1 売上を回収したい!

中小企業診断士の内山です。起業家や経営者の皆さんが訪れる「相談窓口」。みなさんどんな悩みを抱えているのでしょうか?

このコラムでは「よくあるお悩み相談トップ10」として、10位から順番にご紹介しながら、一般的な対応方法についてもご紹介します。

第10位は…「売上の回収」です!

売上が回収できないってどういうこと?

正確には「売掛金」と呼ばれるものですが、商売をしていると「納品後〇日以内に支払い」というように、商品・サービスの提供とお金の支払いのタイミングがずれるという場面が数多くあります。たとえば工事代金、ホームページ制作、月謝制のスクールのほか、相手方が事業者だと多くのケースで「月末締翌月末払」といった形での取引が多くなります。

 ここで問題になるのが「期日を過ぎたのにお金が支払われない」「『もうちょっと先延ばしにして』と言われたが、いつまでたっても支払いがない」というケースで、これが今回のお悩み「売上が回収できない」という悩みが生じる原因です。

飲食店や美容室など「サービス提供と支払いがほぼ同時」という商売の場合は特に問題になりませんが、実はこうしたビジネスモデルの方が少数派。たとえば、自動車整備を行なったあとにかかった金額を請求し支払ってもらう、など、サービス提供と支払いにタイムラグがある事業の方が多いのではないでしょうか。

地方で商売をしている身としては、「あまり厳しく催促して相手との関係をこじらせたくない」という意見も多く聞きます。

どうすればよいのでしょうか?

対応策:きちんと書面で伝える、記録を残す

 このような場合、相手方と連絡が取れるようであれば、「とにかく支払い期日を明記した『書面」を取り交わしましょう』とアドバイスしています。相手方に連絡が取れないようであれば、「支払いのお願い(催告書)」といった形で、文書で通知を発送ないし郵便受けに入れておくのが良いでしょう。

実のところ、売上か回収できないと相談に来られる経営者の大半は「口約束」で商売しているため証拠が全く残っていません。催促も電話などの口頭での伝達ばかりで書面に残っていないほか、「〇月〇日の何時に、誰に電話して、どんな話をして、どんな回答があったか」という記録も残っていません。

書面を交わしたり、文書で通知したりすれば、肌感覚ですが相談窓口に来られる方の6~7割くらいの方は売掛金を回収できています。これまで述べた書面を交わす、文書で通知する、記録を残すという方法は、より厳しい方法で回収を進める場合にも必要になります。

回収不能は商売にとって大ダメージ

売上の回収不能は、単に売上が入らなかったと考えがちですが、実は「利益」が丸ごと飛んで行ってしまったのと同じ影響があります。

 たとえば工事代金50万円、材料代や人件費などの経費が40万円、利益10万円の工事代金が回収できなかった場合を考えてみてください。50万円が入金にならないということは、「同じ工事5件分の利益」が消えてなくなってしまったことを意味します。工事5件を受ける労力や手間を考えると、ゾッとしますよね。

 回収作業をしているくらいなら本業のこと、目の前のお客さんのことを考えたいもの。このような状況を作らないためにも、簡単でも良いので、最初から「契約書」を交わすのが吉です。とくに最初に述べたような「商品・サービスの提供とお金の支払いのタイミングがずれる」商売の場合は、契約書を結ぶようにすることをお勧めします。検索サイトで「○○業 契約書 ひな型」といったワードで検索すると、業界団体や士業の方、場合によっては官公庁が示しているひな型が出てきますので、それらをベースにすれば意外と手間もかからずに作成できます。

いかがでしたでしょうか?次回は第9位「新商品を開発したい」です。今回のコラムより前向きな内容になるでしょう。それではまた次回。

M&A支援機関登録のご報告

このたび弊社は中小企業庁が認定しているM&A支援機関に登録されました。地域の事業者の幅広いご相談に対応できるよう、より一層精進してまいります。

大切なことは未来への活用(財務諸表どこを見ている?②損益計算書)

経営者や中間管理職のみなさんから「会社の数字に関することって何を見ているの?」と聞かれるポイントに絞って、徒然なるままに内山の着眼点を紹介しているシリーズの2回目。今回は「損益計算書」です。

損益計算書はその期(通常1年間)の収入と支出の内容を説明している財務諸表です。
前回ご紹介した貸借対照表が期末の一瞬を切り取って表現している財務諸表だったのに対して、損益計算書は「1年間」という期間を表現しているという点が大きく異なります。

とりあえず見ているのは3点!
損益計算書は上から順番にザックリと
 ・売上高
 ・(-)原価
 ・売上高総利益(いわゆる粗利益)
 ・(-)販売費一般管理費
 ・営業利益
 ・(±)営業外損失&利益
 ・経常利益
・・・・・・と続いていきます。「営業利益でみるべきだ」「経常利益が大切だ」「いや粗利益が一番実態を表している」などなど意見は様々ありますが、この答えは会社の規模や状況や業種やビジネスモデル、目指す姿によって様々だと思います。

初見で私がパッと見ているのは次の3点です
①売上高の規模と内訳
 とくに「内訳」は気にしており、記載がなければ大まかでもよいので聞いています。
 内訳の分け方は商品別・顧客別・事業部門別と様々で、相談される会社の状況によって変えています。またヒアリングの際に物凄く熱く語っていただいた商品が実は売上構成の5%で、50%超を締める商品が他にある、そんなこともしばしばあります。
 売上高の規模(スケール)についても、さまざまな部分に影響するところですので気にしています。

②原価のおおよその割合(=変動費率)
 簡単に言ってしまえば商品(1つ、1ロット)をつくるのに材料がザックリ何円くらい必要かというものです。業種によっては「把握していない」と言われるケースも多々あります。把握していなければ把握していないで「把握していないという事実」を把握したという認識で確認しています。
 つまり原価率の良し悪しの話というよりは「原価率を管理しているか否か」を確認させていただいています。※製造業などは材料費だけでなく労務費などもカウントする考え方をとりますが、そのあたりは来月書く予定の「製造原価報告書」のコラムで触れたいと思います。

③人件費と人件費以外の費用
 もう一つ初見で確認しているのは販売費一般管理費のうち「人件費は何円で人件費以外の費用は何円か」という点です。
 多くの経営者の方にとっては「人件費を削る」というのは大変恐ろしいことです。あまり会計のテキストなどでは言われていない区分ですが、人件費かそれ以外かというのは、経営者の方からするとかなり理解しやすく腑に落ちる区分のようです。前向きな話としても用いることのできる考え方で「人件費トータル〇〇万円にするためには売上高の目標を何円にする必要があるか」ということを考える起点としても使えます。もちろん一人当たり売上高などの生産性や人数から逆算した平均給与など、財務以外の会社の実像を把握するのにも便利な分け方だと思っています。
 

損益計算書は過去の結果、大切なのは未来をどうするか

貸借対照表の時にも述べた通り、財務諸表は結果であり、大切なのは「未来をどうするか」です。そういう意味において③で説明したように、単なるダメなところ探しではなく、いいところさがし、さらに一歩進んでリアルな目標設定を設けるための道具として損益計算書を活用したいですね。

どう使うかは、どう生きるか(財務諸表どこを見ている?①貸借対照表)

「数字に関すること」「お金に関すること」に苦手意識をもつ方は多いと思います。
かくいう私も、以前は数字に関することは大の苦手で、銀行に入ったときに根性を叩き直されました。

そんなわけでこのコラムでは、経営者や中間管理職のみなさんから「会社の数字に関することって何を見ているの?」と聞かれるポイントに絞って、徒然なるままに内山の着眼点を説明できればと思います。

今日は①貸借対照表です。貸借対照表をコラムで、たった1回で説明するという暴挙をお許しください。それくらいざっくりした説明なので、どうぞ気楽にお読みください(^-^;

とりあえず見ているのは3点!
イラストにも書いたとおり、貸借対照表、英語で言うとバランスシートとは「○年○月○日という日の会社の状況」を
①資産=お金の変化した姿・・・左側
②負債=戻す必要のあるお金・・・右側
③純資産=戻す必要のないお金・・・右下
という着眼点で大きく3つに分類して示した表です。

①~③はさらに「おおむね1年以内に動くか否か」という着眼点で分けられており

①資産=
1)流動資産(1年以内に現金に変わると考えられるもの)
 例:現預金そのもの、売掛金、在庫、短期的な貸付金や前払金など
2)固定資産(1年以内に現金に変わらないと考えられるもの)
 例:建物、土地、設備、車両、長期的な貸付金や保険金など

②負債=
1)流動負債(1年以内に戻す必要のあるお金)
 例:買掛金、短期借入金、仮受金、未払法人税など
2)固定負債(1年以内に戻す必要のないお金)
 例:長期借入金、社債

③純資産=
1)資本金(発行した株式の金額)
2)利益剰余金(これまでの利益or赤字の累積)など

にざっくり分かれています。

・・・これから何を読み取れるのか!?

(1)③の純資産にはやはり目がいきます。ここには会社が設立されてから今日までの累積の結果が現れているため、直近1年が黒字でも苦しい時代が長かったのかとか、反対に赤字でも黒字の時代が長かったので蓄積があるのかなとか、会社の歴史を妄想して?います。ちなみに「債務超過」という言葉はこの純資産がマイナスになっていることを言いますが、いくらお金が回っていてもあまり健全な状態とはいえないので、まずはこの状態から脱却するお手伝いをすることも多いです。

(2)次に目が行くのは「シンプルに大きい金額の科目はなにか」という点です。前述の通り①資産は「どんな形で残っているのか=何に使ったのか」が現れる部分なので、全体が100として、50が建物なのかとか、30も貸付金があるけど誰に何のために貸したのかとか、そういったところは見ますし、会社の方針やビジネスモデルが垣間見れたりします。

(3)もう一つはやはり「現預金や売掛金などのすぐお金になる資産と、借入金のバランス」は気になってしまいます。いくら純資産がプラスでも目の前にお金がありません!というケースはままあります。

決算書は過去の結果、大切なのは未来をどうするか

これを言ってしまうと本末転倒なのですが、貸借対照表を含めて決算書は過去の結果であり、これからどうするかがとても大切だと心掛けています。もちろん未来を考えるためにも過去の結果から学べることは沢山あるのでフル活用するのですが、よくいう話ですが社員さんのこと、技術のこと、お客さんとの信頼関係など、決算書に載っていないことも山のようにあります。そこはどんどん引き出して「いいところ探し」をするよう心がけています。

本当に徒然なるままに書いてしまいました。
不謹慎かもしれませんが、不良在庫が残ってしまった過去の出来事、現在の事業所とは異なる場所にある建物や土地、なぜか大企業と取り引きがある…など、そういったところから社風や経営者さんの人柄や会社の歴史を知ることも多いです。数字があるからこそ気づかされる部分でしょうか。


最後までお読みいただきありがとうございました(^^)

人生ゲームと金融

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。

正月休みは実家のある神奈川県に帰省し、久しぶりに兄夫婦や甥っ子たちにも合うことができました。そこで始まったのが『人生ゲーム』。おそらく5~6年前に消防団の年末警戒でやったのが最後だったと思いますが(大人のくせに割と最近ですね)、盛り上がりました!

盛り上がっただけではなく、いろいろと考えさせられました。
・家を持っているとゴール時に購入価格の3倍でキャッシュに変えられる仕組み
・お給料や臨時収入は銀行からもらえるというシステム
・いちど失職すると再就職するのがとんでもなく難しい
・生命保険と火災保険が大切
・不渡りを起こすと開拓地に飛ばされるという厳しいルール

おそらく時代によって細かいルールや仕組みが変わっているのかな、と妄想を働かせると同時に、ボードゲームの可能性を感じたお正月でした。

ちなみに私は医者になり、出世して病院の医院長になりお金持ちになり、このままいけば1位だったけれど最後の最後で快楽で火星旅行に行ってしまいゲームとしては3位になってしまいました。ただ個人的にはお金は墓場まで持っていけないと思っているので、ゲームとはいえ、いい人生だったなぁと。それから優勝した甥っ子はイラストレーターでしたが、特に仕事とは関係のない古物や絵画で本物を引き当てて大金持ちになりました。

今日から仕事始めです。現実世界ではこつこつ頑張りたいと思います。

美術館

中小企業診断士という仕事をしていると、事業計画書の作成など経営者や社員のみなさんが考えていることを「言語化する」という場面が数多くあります。

関係者に説明する、社員やスタッフと意思疎通を図る、お客様に商品の魅力や思いを届けるなど、ご商売をしていて「言語化する」ことはとても大切です。わたしも仕事としてそのお手伝いを毎日行っています。

・・・と普通のコンサルタントならば、ここで「言語化する」ことのノウハウや事例を紹介すると思いますが、そう進まないのがこのコラム。普段やっていることと矛盾しますが、正直なところ、世の中には「言語化」できないからこそ面白いものが沢山あると思っています。

タイトルにした「美術館」はその最たるもので、ふだん言語化の手伝いを数多く行っている反動なのか、最近は絵・音楽・芸術・自然といたものを愛でる時間が貴重なことに感じられます(年をとったもんです)。先日もちょうど会議が善光寺の近くで行われたので、新しくなった長野県立美術館に行ってきました。

もっとも、とくに美術に造詣がある訳でもなく、ぼーっと絵を見ているだけなので偉そうなことはいえません(^-^;ただ、絵を描くことで言語化できないことを伝えられるって面白いし、仕事にも生かせないだろうか、と思った秋の一日でした。

長野県は日本一美術館が多くあるそうです。芸術の秋ですし、ちょっと仕事のことを忘れて芸術に触れてみるのもよいかもしれません。

意外と深い「だれに、なにを、どのように」

※「商工連ながの8月号」に掲載していただいた内容です

「『だれに、なにを、どのように』なんて、そんな基本的なことはワンポイントアドバイスされなくてもいい!」と怒られてしまいそうですが、あえてこのタイトルにさせていただきました。そのくらい最近この「基本的なこと」が大切であり、意外と深いと思える機会が数多くあるためです。

 言わずと知れた「だれに、なにを、どのように」は、いわゆるマーケティングの根幹になるポイントを説明した言葉です。事業を進めるうえではもちろん、事業計画書の作成や補助金申請でも記載を求められることがあるため、意識している経営者や支援機関の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?経済産業省が発表している「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」においても、重要な着眼点として取り上げられています。

 しかし日々の経営相談や支援の場で話をしていると「表面的な意味」でしか受け取られていないと感じることが多々あります。たとえば先日ご支援したお蕎麦屋さんのケース。ご主人は「だれに、なにを、どのように」というポイントは知っていたのですが「そりゃぁ内山さん、うちは蕎麦屋だから、美味しいそばを・観光客と地元の人に・店に来てもらって提供しているのよ」で話が完結してしまいました。間違いではありませんが、本当にそうでしょうか?観光客や地元の人はなぜこの店を選んだのか。場所がよかったから?美味いと評判だったから?美味い蕎麦ならなぜ美味いのか?店からの景観は関係ないだろうか?実は提供方法に特徴があるのか?リピーターになっている方はなぜリピートしているのか?…といった具合に、深く考えていくと、単純に蕎麦という食べ物だけを売っている訳ではないことに気づけると思います。

 「だれに、なにを、どのように」を考える際の着眼点を私なりにまとめてみたのが下の図です。表面的な意味だけで考えると単なる事実確認になってしまって、なぜ好調なのか、なぜ不調なのかといった大切なポイントに辿り着けません。一歩進んで「潜在的な意味」まで深堀してみると、正確な現状分析や「本当の意味で事業者さんが提供している価値」の発見につなげることができます。そうした価値を見つけ出して言語化し、経営者の思いや外部環境と掛け合わせてこそ、事業計画を考えるときに必要となる「強み×機会」を探し出すことにつながるのではないでしょうか。

 限られた時間と人と資金で結果を出さなければならない経営者にとって、「だれに、なにを、どうやって」を点検しておくことは、日々の経営判断のスピードアップ、取り組む事業の優先順位付けにも役立ちます。言語化しておいた「価値」は販路拡大に用いるツール(ちらし、Webサイト、パンフレット)の主要な要素になるでしょう。新しい事業を考える際も、自社の価値の源泉を正確に把握していることは大きなプラスになります。

 とはいえ、誰もが「自分(自社)の良いところを話してください」と言われても説明しにくいように、良いところを探すということは一人で考え込むだけでは気づきにくいものです。まして現在のような先が読めない環境においてはなおさらかと思います。こんな時こそ官民問わず支援機関と連携し、この難局を乗り越えていければと思いますし、私も微力ながらその一翼を担えればと考えています