「誰のためのトイレなのか」
「見た目がいいトイレであっても、体の不自由な人に使い勝手の悪いトイレは自己満足」
「『人を思うこと』のできない商品に存在価値はない」
「うんこの会社に入れ」!!!
先月いちばん興味深く読ませていただいたのが、TOTO元社長の木瀬照雄さんの私の履歴書(日本経済新聞に掲載)でした。毎回「えっ?」と思う書き出しで目を引き、軽快な文章だったこともあり楽しく読ませていただきました。
「目を閉じてトイレに行くことはできますか」もその書き出しのひとつでした。文章はその後こう続きます。
・自宅ならば大丈夫だろう
・駅やオフィスはどうだろうか
・男性用や女性用はどう区別するのか
・トイレットペーパーはどこにあるのか、手洗い場はどこにあるのか
・私には目を閉じて初めて使うトイレの壁をペタペタ触る勇気はない
木瀬さんという方はTOTOをグローバル企業にした立役者の一人だそうで、営業部門の最前線で活躍されていた方だそうです。当然ながら私が想像もできないくらい厳しくスケールの大きな環境のなかでバリバリ仕事をしていたであろうに、こうした着眼点をもって仕事に向かい続けていた人がいること、そして(私が無知なだけかもしれませんが)世間一般で知られている物凄い経済界の有名人とか目立っている人という訳ではないことが、なんとも考えさせるものがありました。もっともTOTOのCMにはちょい役でしばしば出演されていたようですが(^-^;
同時に、トイレのような誰にでも必要なもの、人の尊厳に関わるもの、社会の根っこを支えているものに目を向けること、そうした仕事の尊さや携わっている人々がいることを意識することの大切さにも気づかされた6月でした。
※余談ですが、日経新聞の文化面は毎回かなりマニアックな記事が高頻度で掲載されていておススメです。マニアックすぎて追いつけないものも多数あります。
※写真および冒頭「」内:日本経済新聞「私の履歴書」より引用